圧空成形(圧空成型)とは
シートの熱成形の方法です。熱可塑性樹脂のシートを加熱軟化させたのち、シートを下側の型と上側の圧空BOXにてはさみ、圧力により型に密着させ、冷却後空気を吹き込んで成形品を取り出します。
真空成形に比べ高い圧力を得られる利点があります。
特長
- 金型製作コストが安い(真空成形型より割高)
- 製作期間が短い(短納期)
- 生産個数に合わせた材質選択が可能
- 大型サイズ、薄肉成形が可能
- 塩ビ樹脂の成形が容易
- 多品種少量生産に適す
- 射出成形に近い表面形状
- 製品のアンダーカットが作りやすい
- 最小Rを小さめに設定できる
- キャラクターラインが重要視されるような形状に適す
- 基本シボが付きます
ウエプラの圧空成形
圧空成形機のサイズは1300X2100なので、大型製品の成形、製作ができます。深絞り形状では成形後の加工が困難な場合がありますが、弊社のNC加工機のヘッド部分をコンパクトにしてありますので、深い形状加工にも対応しています。
圧空成形は、シリンダーや入子を使うことによってアンダーを作ることができ、大型でシャープな形状に最適です。
圧空成形の材料は、カイダック、ロア、ABSなどを主に使用しています。
主に圧空成形が使われる製品
圧空成形は外観寸法を精度よく作る事が出来るので、
- 操作パネルの前面カバー
- 装置の側面カバー
- 券売機のフロントカバー
- モニター(ベゼル)
などに使用されます。
日本国内で製造されるプラスチック成形品が以前よりも多品種少量生産にかわり、近年ではこの成形方法が選択されることが多くなっています。
また、金属の板金カバーで製作されていた物が、R形状のついたデザインや曲面デザインのある樹脂カバーに置き換わる例も多くなっています。
日本国内で使われるカバーの製造方法として、少量多品種に最適な圧空成形は時代にマッチした成形方法だといえます。
熱可塑性プラスチックシート
(圧空成形で主に使用される樹脂)
ABS | ABS樹脂はアクリロニトリル・ブダジエン・スチレン共重合体です。 ABS樹脂板は他のプラスチックシートに比べ着色がしやすく、比較的安価な材料ですので、多様なプラスチックカバーとして使われます。 ABS樹脂板は一般グレード゙・耐衝撃グレード・耐熱グレードがあり、規格の色としてはナチュラル・白・黒が標準であります。(一般グレードのみ) |
カイダック | カイダックは住友ベークライト製のアクリル変性高衝撃塩ビ板で、ポリマーアロイにより耐衝撃強度、成形性、耐薬品性、難燃性をバランスよく保持しています。 材料の種類は一般グレードの1000タイプ、耐熱・難燃グレードの2000タイプ、透明グレードの9000タイプ、フラットグレードの3000タイプが標準であり、特注品として耐候グレードの3000Lタイプがあります。 |
PC/ABS(ロア) | ロアは住友ベークライト製のPC/ABS樹脂板で、耐衝撃性、難燃性に優れています。 規格材料寸法は1000X2000です。 板厚は2mm、3mm、5mmが標準であります。 規格色としてはアイボリー、グレイ、ブラックがあり、表面にシボが付きます。 |
アクリル (スモーク) |
アクリル樹脂板のスモーク色を使用します。 押出し材料はキャスト材に比べ、プラスチック成形に優れていますが、アクリル板では形状や品質の条件が厳しくなります。 |
圧空成形を作るための道具
・圧空成形金型
・圧空BOX(圧力をかけるためのBOX)
・クランプ枠(材料をつかむ枠)
・NC治具(製品をNCで加工するための治具)
・接着治具(裏にコマを貼る場合、位置を決めるために使用)
成形しやすい材料の順番
・NO.1 カイダック 形状の再現性と収縮の安定性が優れています。
・NO.2 ABS 形状の再現性はカイダックよりは劣りますが、比較的成形しやすい材料です。
・NO.3 ロア(ROA) ABSより更に再現性が落ちます。
・NO.4 アクリル 形状の再現性は悪いです。
圧空成形で作られるカバー用途
医療機器、精密機器、食品設備、健康機器、美容機器、券売機、セキュリティゲート、OA機器、3次元造形機、機械カバー
圧空成形品の価格を下げるには
● 材料で塗装の工程を減らす
1:材料に着色することで、塗装を省くことが出来ます(LOT制限があります)。
2:カイダック材の色をそのまま使用します(LOT制限はありません)。
● 形状
1:板厚が薄くても、①のように凹Rを大きくすることで、成形品の厚みを上げることが出来ます。
2:更に形状を低くすることで、②のように厚みを残すことが出来ます。
● 成形セット取り
同数で使用する製品を、セット取りで成形することにより、費用をおさえることが出来ます。